nothing even matters

日々のあれこれ、書きたいこと

苦手なもの

 

口紅が苦手だ。

それは、小さい頃、七五三でお化粧してもらったときに遡る。

 

綺麗な着物、おませなお化粧、そして、赤い口紅。

その日はいつもと違う特別な高揚感に包まれて、 今にも踊りだしそうだった。

 

でも、何気なく舐めた口紅のついた唇の味が嫌だった。

気がついたらなぜか白い歯についている赤い色が嫌だった。

(小さい頃、とても不思議だったことのひとつだ。)

 

そして、 時間が経つにつれて少しずつせっかくひいた口紅が乾燥して唇にへばりつくような違和感に変わってきて、 すぐにでも唇をごしごしこすってその違和感を拭い去ってしまいたくなった。

 

 

そんなこんなで、口紅が苦手だ。

 

30歳、毎日お化粧はするけれど、基本的に口紅はつけない。

リップクリームと、たまにグロス

 

コーヒーカップや食べかけのパンに色が移るのだ嫌だ。

こまめに塗り直すのが嫌だ。

(基本的にずぼらな私は、 夜出かける用事がない限り日中はお化粧を直さない)

 

そして、唇が厚い分、口紅を塗ることでそれが強調されて、 薄い顔の中で唇だけが主張し始めるのに耐え切れなくて、 口紅をつけることを避けてここまで生きてきた。

 

ちゃんと塗った方がいいのはわかっているのだけれど。

 

 

なんでこのことを書こうと思ったかというと、昨日、ものすごく久しぶりに口紅を買い、今朝、ものすごく久しぶりに口紅を塗ってみたからだ。

赤ではなく、ベージュの強いくすんだピンク。

 

あの年下の友人は口紅が大好きで、 いつもはっきりした色をきれいに塗っている。

「厚い唇ってセクシーなんだから、 ちゃんとつけたほうがいいですよ!」という彼女は確かにセクシーで、その言葉に背中を押された。

 

家を出る前に、鏡の前で口紅をつけてみる。

1週間分の疲れが溜まった金曜の朝の顔が少しだけ華やいで見えた。

 

 

「お、悪くないかも」

 

 

そう思ったのは束の間、会社について、コーヒーを入れて、 自分のデスクで朝の一口。

マグカップにべったりとついた口紅の跡。

 

 

やっぱり、口紅は苦手だ。